平等ゲーム

作者：桂望実｜幻冬舎

• あらすじ

瀬戸内海に浮かぶ「鷹の島」は国内と異なるシステムで運営されている。
「全員平等」をモットーに仕事は4年ごとに抽選で決まり、収入は平等に分配される。
島内では現金が必要なく、将来に対する不安もなく、日本の中の楽園だった。
島民は1600人で構成され、欠員が出ると、希望者を抽選で選び、移住を受け入れる。
島内で生まれた耕太郎は「鷹の島」の移住者を調査する「勧誘係」の仕事についている。
耕太郎は希望者の元に訪れ、「鷹の島」の素晴らしさを説き、移住を口説く。
だが、希望者が耕太郎の話を聞くにつれ、断られるケースが増えてくる。
理想郷に背を向ける希望者に理解に苦しみながら、島外の人と交渉する耕太郎。
そんな折、「鷹の島」で不正が行われているという噂が流れる。
その不正の当事者は彼の家族だった。

• 感想

すべての人が平等というシチュエーションで純粋培養された耕太郎。
彼が島の外に出て、勧誘をする話だが、会話のギャップが面白い。
また、彼のスケッチの才能が話を盛り上げることになっている。
すべてが平等に不満を持つ人たちと、ピュアな耕太郎とのやり取りは寓話めいている。
不思議な雰囲気に満ちていて、楽しい小説だった。

平等ゲーム