永遠の旅行者

作者:橘玲幻冬舎文庫

  • あらすじ

大手法律会社を辞めた弁護士の真鍋は、ハワイに滞在していた。
弁護士時代に稼いだ金と、資産運用が成功し、余裕のある生活。
そんな彼の元に、日本の資産家の麻生から依頼が舞い込んでくる。
「孫娘に20億の財産を相続させたい。ただし相続税は1円も払わない」
真鍋は帰国し、麻生と孫娘に合うが、麻生は重篤で、孫娘のまゆは精神を病んでいた。
麻生の過去を探ると、敗戦後に抑留されたシベリアに謎があった。
また、まゆの父親は母親を惨殺した疑いで、アメリカに失踪し、行方不明になっていた。
真鍋はまず、まゆを措置入院にするが、麻生の財産を狙った連中が妨害を始める。
死期が迫った麻生の依頼を叶えるため、真鍋は香港、ニューヨークに飛ぶ。

  • 感想

これは面白い本だった。まず、世界を又にする真鍋の活動のユニークさ。
麻生やカナイ達の抑留生活の過酷な生活と、バブルに踊ったまゆの父親の悲惨な末路。
まゆが陥った精神的な病の複雑さ。これらの要素が絡み合って、飽きさせない。
何より、税制の盲点を突くための指南が極めて丁寧に描写されているのが興味深い。
ミステリーとしても面白かったが、何より様々な知識がてんこ盛りなところがいい。
また、世界各国でプチ贅沢をする真鍋の描写もうらやましい。
ただ、読み物として面白いが、感動する作品ではない。読みごたえはあるけど。

永遠の旅行者〈上〉 (幻冬舎文庫)

永遠の旅行者〈上〉 (幻冬舎文庫)