人は、永遠に輝く星にはなれない

作者:山田宗樹小学館
民間病院に設置された「医療相談室」に勤める千夏は、様々な患者のカウンセリングを行っていた。
プールの事故で脊椎を損傷し、リハビリに対して自暴自棄になった男性。
子供の重病に対して、医療免除が出ないことに抗議する母親。
十分退院できる状態なのに、自宅での生活に不安を訴える老人。
半身麻痺になった夫の退院を拒む裕福な生活を送る妻。
一方、妻を亡くし、孤独な生活を送っていた87歳の寛治はしきりに戦争のことを思い出す日々。
杖が手放せない生活だが、車の運転をし、息子の家に世話になることは拒否していた。
だが、妹が闘病の末、なくなったころからせん妄の症状が出始める。
千夏のもとに寛治がクライアントとして訪れ、ひとしきり戦争体験を語り始めた。
ボケているわけではなく、人とのつながりを求めていると感じた千夏は、寛治の戦友を探す。
だが、かつての兵隊たちも高齢のため、鬼籍に入っており、ようやく見つけた戦友も重い病状にあった。
千夏は寛治とともに見舞いに訪れる。
病院を舞台に、困った患者を描いていくが、年老いていく寛治の描写がリアルでたまらなかった。
それだけに、寛治がせん妄状態になった時の描写は長くて、手抜きだろと強く思った。
山田宗樹は話を作るのが上手いが、これは平坦な印象はぬぐえなかった。
でも、老いて体が動かないもどかしさはリアルだし、タイトルと結末も良い。
話はそれほど面白くないけど、不思議と感動する作品だった。

人は、永遠に輝く星にはなれない

人は、永遠に輝く星にはなれない