クラリネット症候群

作者:乾くるみ|徳間文庫
「マリオネット症候群」と「クラリネット症候群」の2つの中編が収録されている。
「マリオネット症候群」は自分の体を乗っ取られてしまう女子高生の話。
ある日目覚めると、自分の体に誰かが入ってきていて、自分は傍観するしかない状態になった里美。
なす術がなく観察していると、どうやら里美の憧れの森川先輩の人格が入ってきたようだ。
その森川先輩は前の晩に死亡していた。里美の体を借り、自分の死の真相を探る。
だが、別のトラブルに巻き込まれ、今度は別の女性の人格が入ってくる。
森川先輩は里美と同じように傍観者の立場になり、ここで初めて里美と言葉を交わす。
二人が会話をしていると、別の人格が話しかけてきた。里美の中で次々に現れる人格。
森川先輩の死の原因が非常に間抜けで、コミカルなSF小説
クラリネット症候群」は「ドレミファソラシド」の音が聞こえなくなる話。
「僕」はジャズミュージシャンの関さんと同居する男子高校生。
ある日、巨乳の先輩のエリにいいところを見せようと、クラリネットを持ち出す。
エリの前でクラリネットを吹いていると、幼馴染の不良が現れ、クラリネットを壊してしまう。
その直後から「ドレミファソラシド」の音が聞こえなくなり、トラブルに巻き込まれる。
追い討ちをかけるように、関さんは謎のメッセージを残して失踪してしまう。
「僕」はエリとともに、メッセージの暗号を解き、関さんの行方を探そうとするが。
こちらもコミカルだが、会話文から「ドレミ」を抜いているので、読みにくいことこの上ない。
面白いが、読者に集中力を要求する作品で、「イニシエーション・ラブ」や「リピート」ほどではない。

クラリネット症候群 (徳間文庫)

クラリネット症候群 (徳間文庫)