女奴隷は夢を見ない

作者:大石圭光文社文庫
女子大生の川上春菜は、父の使いで訪れた横浜のビルで、いきなり拘束される。
「あなたの両親は、あなたを売ることにした」と売買契約書を突きつけられ、そのまま監禁される。
事業に行き詰った両親は、生活のため、長女の春菜を売ることを決意したという。
信じられない思いで、悲嘆にくれるが、そのビルには春菜以外の女性も監禁されていた。
このビルは「ヨコハマ・スター・トレーディング」が所有しており、高野という男性が代表だった。
高野は女性を買い付け、女奴隷オークションに出品することを生業としていた。
だが、仕方がなく、この仕事を続けているという雰囲気で、この作家お得意の虚無的な人物だ。
目の見えない捨て猫を自室で世話をし、盲目のサラという売春婦に好意を寄せるが、手は出さない。
一応主人公は高野ということになるが、ポルノチックではないし、捉えどころのない小説だった。
春菜のその後の描かれ方が尻切れトンボだし、今ひとつピントが定まらなかったように思う。
監禁され、調教を受け、オークションに出される女性の絶望を綴ったエピソード集という雰囲気。
むしろ、皇室出身を思わせる女性がオークションに出されているかのようなシーンが気になった。
今後物議を呼ばなければいいけど。

女奴隷は夢を見ない (光文社文庫)

女奴隷は夢を見ない (光文社文庫)