枕女優

作者:新堂冬樹河出書房新社
女優を夢見る少女が、芸能界に入り、のし上がっていく話。
鈴木弘子は、いくつものオーディションに落ち、高3の時にやっと弱小プロダクションへの所属が決まる。
「鳥居水香」という芸名になり、最初に指示されたのは整形することだった。
だが、華やかな世界とは裏腹に、現実は惨めな生活だった。
仕事を得るためにプロデューサーや、原作者と寝ることを強いられる。
変態制作者に小便を飲まされ、屈辱に耐えるが、浮上することはなかなかできなかった。
そんな水香だが、「枕営業」を逆手にとり、のし上がることに成功する。
ライバルを追い落とし、連ドラの主役となり、大手企業のCMに起用される。
周りは、手のひらを返したように媚びてくるようになり、水香は傲慢な女王として君臨する。


芸能プロダクションを立ち上げ、何をやっているのだろうと思っていたら、業界の話を出してきた。
新堂冬樹の小説は動物と恋愛モノ以外は読んできたが、薄さが気になった。
話の間に複数の女性のエピソードが出てきておやっと思うが、複線はすぐに想像できた。
話の流れは悪くないが、この人はもう少し長い話の方が良い。
極端かもしれないけど、この本は「オビ」に書かれていることを読めば十分のような気がする。
多方面でマルチな才能を発揮しているが、自分はヤクザがらみの「暗黒小説」がもっと読みたい。

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