少年たちのおだやかな日々

作者:多島斗志之双葉文庫
中2の少年たちのどす黒い体験を描いたサイコホラーチックな短編集。
「言いません」は友人の母親の不倫現場を目撃した少年がその母親に付きまとわれる話。
「ガラス」は幼い頃兄を殺害したという女子生徒をかかわり合いになる恐怖。
「罰ゲーム」は友人の姉とさいころゲームをするが、罰ゲームの内容が痛い。
ヒッチハイク」はピクニックに出かけた少年二人が、ヤクザまがいの男に連れまわされる。
「かかってる?」は叔父に催眠術をかけられた友人が廃墟で豹変する話。
「嘘だろ」は姉の婚約者が電車の中で性犯罪を犯すのを目撃する話。
「言いなさい」は同級生の金を盗んだ少年が、教師二人から問い詰められる話。
すべての話において、意外性のある恐怖を描くことに成功している。
特に「ヒッチハイク」と「嘘だろ」は結末のどんでん返しが効いていて、面白かった。
ただ、全体的に乾いた雰囲気の小説で、少年たちに人間味が感じられないところが少し残念。

少年たちのおだやかな日々 (双葉文庫)

少年たちのおだやかな日々 (双葉文庫)