棲家

作者:明野照葉|ハルキ・ホラー文庫
希和は恋人と過ごす時間を確保するために、新しい部屋に引越した。
その家は風変わりな洋館で、非対称な造りと、動物のレリーフがちりばめられていた。
家賃は5万円と安く、希和は気に入ったが、恋人も友人もその家に嫌悪感を示す。
「この家は嫌な感じがする」と友人の洋香が出ることを忠告するが、喧嘩別れしてしまう。
引っ越してから、希和は仕事に集中力がなくなり、つまらないことで叱責を受けるようになる。
希和は些細なことで感情を爆発させるようになり、同僚や友人達が離れていく。
異常な食欲と、やせ細っていく身体と変わっていく顔つき。紀和は明らかに何かに取り憑かれていた。
その洋館は神社を取り壊した後に立てられたいわくつきの物件だった。
おまけに大家の老婆が実はまだ42歳で、妖しげなお祓いを生業としていた。
そのことを知った希和だが、すでに部屋から出ることができないほど衰弱していた。
希和を救うため、霊感の強い洋香が洋館に乗り込む。
家に巣くう悪霊をテーマにした正統派のホラーで、驚きの展開はなかったが、楽しめた。
話の組み立てと流れがいい。安定して面白い作品を出している作家で、もう少し売れてもおかしくない。
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