赤いヤッケの男

作者:安曇潤平メディアファクトリー
山で起きた怪異をばかりを取り上げた怪談集。25編の話が収録されている。
日本では古来から山は信仰の対象で、畏怖の念を持ち、見上げてきた。また死者が集まる場所とも考えられてきた。
自分は山に登ったりすることに興味はないが、この本で取り上げられている山の雰囲気は気に入った。
どこかで聞いたことのあるような話はなく、オリジナリティに満ちている。
山で夜に出会う怪異は、逃げ場所がないから余計に恐怖が募る。
最初の「8号道標」から「アタックザック」「赤いヤッケの男」「山小屋の掟」までの4話はかなり怖い。
他にも「鏡」や「笑う登山者」「荒峰旅館」「ゾンデ」「霧の梯子」など秀逸な怪談が収録されている。
ネタはいつまでも続かないと思うが、この本はテーマに絞ったことで成功していると思う。

赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)

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