九月が永遠に続けば

作者:沼田まほかる新潮文庫
2004年度ホラーサスペンス大賞受賞作。
佐知子は精神科医の夫、雄一郎と離婚し、高校生の息子の文彦と二人で暮していた。
自動車教習所の教官の犀田と、身体を合わせる事に背徳感を感じながら日常を送っていた。
ある日、息子の文彦が何の前兆もなく、失踪してしまう。
佐知子は文彦の行方を探すが、直後に、犀田が駅のホームから転落して死亡する。
その現場に雄一郎の後妻の子供の冬子がいたことを知り、彼女に会う。
冬子は密かに文彦と連絡を取り合っていたフシがあった。
冬子から犀田との関係を文彦が知っていたことを告げられ、佐知子は戸惑う。
別れた夫の雄一郎、後妻の亜紗実、冬子が文彦の失踪に絡んでいると確信するが。
不思議な緊張感に満ちた小説だった。特に亜紗実に降りかかった不幸は読み応えがあった。
文章も上手い。でも面白くなかったのが正直な感想だ。亜紗実にテーマを集中させればよかった。
本来の主人公である佐知子も、失踪した文彦も読後はかなり希薄に感じた。
誰かに薦めたいとは思わない。

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)