好きよ

作者:柴田よしき|文春文庫
「好きよ」という一言の遺言を残し、OLの愛果は飛び降り自殺を遂げる。
同僚の董子は彼との仲がぎくしゃくしているところ、空間プロデューサーの伊勢崎と出会う。
洗練された物腰の伊勢崎に惹かれはじめる董子だが、死んだはずの愛果の姿が見え隠れするようになる。
一方、64歳の藤次郎は3年前に妻を亡くし、一人暮らしをしていたが、同郷の島の同級生が尋ねてくる。
「巫女の一族で、幼い頃に逃げ出した董子という娘」を探して欲しいと依頼を受ける。
藤次郎と董子が育った島は瀬戸内海に浮かぶ孤島で、墓に異形のモノを閉じ込めているという伝説があった。
その墓石が割れ、島民は不安にかられているという。藤次郎は吉良・速見・伊勢という探偵とともに董子を探し始める。
伊勢崎と一緒にいる董子を発見した、伊勢は直後に何者かに殺害されてしまう。
速水は、伊勢崎の周辺を調査するが、記憶を改ざんされている人たちのグループを発見する。
藤次郎と吉良は捜査を続けるが、董子は伊勢崎と共に行方不明になってしまう。
ミステリーと思って読み始めたが、途中から伝奇ホラーに代わっていくのには驚かされた。
同性愛が出てくるのには必然性を感じないが、ストーリーは独創的で面白い。

好きよ (文春文庫)

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