「狂い」の構造〜人はいかにして狂っていくのか?〜

作者:春日武彦平山夢明扶桑社新書
狂った人間の実例を取り上げながら、くだけた調子でテンポの良い会話の対談集。
日常で垣間見える壊れた人間の行動から、テレビで醜態をさらした人たちまで、狂いの症例が盛りだくさん。


パチンコを打つため、1歳の息子を原チャリのヘルメットケースに入れ、殺してしまった夫婦。
交通事故を起こしたのに、被害者の様子を見ずに、まず知り合いに携帯で電話をする加害者。
鉄道の人身事故を目撃した人たちが、一斉に携帯のカメラで撮影を始める異様な風景。
ミートホープ事件や雪印問題におけるトップの醜態。
ウラン溶液をバケツで汲んでいた東海村の臨界事故。
万引きを防止するために、ヤクザを頼ったばかりに店がつぶれてしまった話。
70年代以降にアメリカで大量殺人や猟奇殺人が増加した原因。
小3の時に放火事件、小5の時に強盗殺人を犯した男が、43歳で一家心中を起こす話。
自分は被害者だと思いながら万引きなどの犯罪を犯す人々の心のねじれ具合。
母親をゴルフクラブで殴りつけた男の理由が、「バルト三国が入れ替わっているような気がしたから」
名簿詐欺に騙される、国選弁護士の情けなさ。
「笑っていいとも」をジャックした挙句、2ヵ月後に急死した有吉佐和子
車を使い、自らの首が千切れるような自殺をした男。


2時間ほどで読める本だが、中身は濃く、面白かった。


第一章:「面倒くさい」が「狂い」のはじまり
第二章:バルンガ病の人々
第三章:“雑”な狂人たち
第四章:“ハイ”になってしまった人々
第五章:殺す狂人たち

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)