父と子の旅路

作者:小杉健治|双葉社文庫
末期がんに冒された母の面倒をみる娘の礼菜は、義父が死刑囚であることを知る。
26年前、義父の光三はかつて礼菜の母のあかねと結婚し、光男という男子が生まれた。
だが、あかねはやくざ風の男と出奔し、光三は光男を一人で育てようとするが、病に冒されてしまう。
光男の将来を、あかねの実家に託そうとした光三だが、冷たく拒否される。
絶望感に襲われた光三だったが、親切な大富家に保護される。
ある日、光三が外出から戻ると、大富家の3人が殺害されていた。
光三は光男を誰かに託し、故郷の山口で逮捕され、罪を認め、死刑が確定した。
大富家には赤ん坊が一人残され、叔父夫婦に引き取られた。
礼菜は死刑囚に会うために、弁護士に依頼をするが、その弁護士は、大富家の遺児の浅利祐介だった。
祐介は父と母を殺害した光三に会うことを躊躇うが、調べるうちに冤罪なのではと疑いを持つ。
実際に光三に会った祐介は、光三の無実を確信し、裁判の再審に向けて活動を始める。
そんな中、光三の死刑執行命令が下される。残された時間は三日間。祐介は光三を救うことができるか。
息子のために、無実の罪を一身に受け、死刑を従容として待つ光三には胸を打たれる。
また、他の死刑囚や看守達の交流も感動的だ。ミステリーとしてもかなり面白い。オススメ。

父と子の旅路 (双葉文庫)

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