雪の夜話

作者:朝倉卓弥|中公文庫
高校時代、試験勉強に疲れた17歳の僕は、雪の降る夜の公園で、不思議な少女と出会う。
僕は高校卒業と共に、上京し、美術系の大学で学びながら、デザイン事務所でアルバイトを始める。
卒業前に、印刷会社の営業の水原に誘われ、彼の会社に就職し、デザイナーとして懸命に働く。
仕事は順調で、結果も出し始めたが、社内の派閥争いに巻き込まれ、傷心のまま故郷に戻る。
実家で引き篭もり状態となった僕は、17歳の時に出会った少女と再会する。
少女「雪子」と対話をすることで、自らを見つめなおし、再びデザインへの道を歩み始める。
また心に傷を負った主人公を支える家族、特に妹の夏子の優しさも大きなテーマとなっている。
静かな夜に、雪みずからが放つ優しく、幻想的な光の描写が美しい。
デザインに関する薀蓄や、懸命に働く主人公の描写は読み応えがあり、面白かった。

雪の夜話 (中公文庫)

雪の夜話 (中公文庫)