骨肉

作者:明野照葉|中公文庫
ある日、稲本家の3姉妹に父から「実家に帰って来い」と召集がかかった。
長女の真子は早くに結婚して専業主婦となり、既に中学生の息子と小学生の娘がいる。
次女の聖美は30代半ばで、コンピュータのサポート会社に勤務し、マンションに1人暮らし。
3女の美善は未だ、父と同居のOLで、気楽な生活を送っていた。
実家で父に紹介されたのは、彼女達の妹となる4女の阿子だった。
阿子は高校中退の18歳で、父が居酒屋の女将に生ませた子という話だった。
丸々と太り、髪を染め、ピアスがいくつもついている阿子を見て、3姉妹は嫌悪する。
普段は仲の悪い3姉妹だが、遺産の取り分が減ることを避けるため、阿子を追い出すことで共闘する。
真子はキッチンドランカーで、聖美は片付けができず、美善はシンデレラ症候群という欠点がある。
3人は阿子を追い出す計画を練るが、阿子はずうずうしく家に居座る。
主人公の3姉妹は欠点だらけで共感できないが、その分リアルな醜い女性像を面白く描いている。
「女神」「汝の名」はミステリアスな女性を描いたサスペンスだったが、こちらはブラックなコメディ。

骨肉 (中公文庫)

骨肉 (中公文庫)