カタコンベ

作者:神山裕右講談社文庫
第50回江戸川乱歩賞受賞作品が文庫化された。
洞窟潜水をするケイブダイバーの東馬は、自らのミスでパートナーを死亡させた過去を持っていた。
そのパートナーの娘の弥生は大学の研究室に所属し、新潟県で新しく発見された鍾乳洞の調査に赴く。
様々な洞窟探検家が集まり、弥生は4人のパートナーと洞窟に入っていく。
だが、洞窟を降り立つ直前にロープが切れ、弥生たちは地底に取り残されてしまう。
おりしも雨が降り始め、雨水が集まる地底は5時間後に水没すると予想された。
遅れて合流した東馬は、弥生を救うため、隣の洞窟の地底湖に潜り、遭難場所に向かう。
弥生たちを見つけた東馬は、地上に戻るため、ルートを探るが、再びロープが切られてしまう。
さらに未踏の洞窟で白骨化した遺体を発見した直後、隊員の1人が殺害される。
東馬は弥生を守りながら、地上を目指すが、洞窟には濁流が流れ込んでくる。
洞窟という描きにくいシチュエーションを上手く描いている。
スリルがあったが、犯人の造詣は今ひとつ。これなら、脱出劇で十分だったと思う。
とは言え、24歳という若さでこれを書いたのは驚く。今後を期待したい作家だ。
横溝正史賞に比べると、江戸川乱歩賞はレベルが高いな。

カタコンベ (講談社文庫)

カタコンベ (講談社文庫)