黒本-平成怪談実録

作者:福澤徹三新潮文庫
200ページに満たない文庫本に36篇の怪談が収録されている。
この作家は怪談の語り手として表現力はあるし、何よりオリジナリティにあふれている。
冒頭の2,3話はあまり面白くないが、その後の話は面白く、特にSさんが出てくる連作はいい。
不気味な下宿を描いた「N荘」の出来は良く、住人の不可解な行動が面白さを増している。
カラオケボックス」「鏡張りの部屋」「I峠」はいわくつきの場所にまつわる話。
「白い眼」「さようなら」と「電話」は生霊を描いた珍しいタイプの怪談だ。
霊だと断言はしないが、体験者が死亡したり、行方不明になったりハードな話が多い。
短時間に読めるオススメの怪談だ。380円と値段も安い。

黒本―平成怪談実録 (新潮文庫)

黒本―平成怪談実録 (新潮文庫)