果てしなき渇き

作者:深町秋生宝島社文庫
警察を退職した藤島は警備会社に就職していたが、コンビニで大量殺人に遭遇する。
藤島は、妻の浮気相手に暴力を振るったため、警察を依願退職していた。
警察の取調べ後、別れた妻から電話があり、娘の加奈子が失踪したと告げられる。
国立大学を目指す優等生の加奈子は、自室に大量の覚醒剤を隠していた。
家族の絆を取り戻そうと藤島は単独で調査を開始する。
物語は、その3年前にイジメから加奈子に救われた男子中学生のモノローグと共に進む。
加奈子には裏の顔があり、同級生を薬漬けにし、地元の有力者に売春させていた。
加奈子は見つからないまま、藤島は覚醒剤に手を出し、堕落していく。
加奈子という偶像が壊れた後の藤島と男子中学生の絶望を上手く描いている。
暴力とレイプにホモ行為に彩られた暗い作品だが、スピード感があり、面白かった。
後味の悪さはどうにもならないが、宝島社から出る小説にしては、かなりレベルが高い作品だ。

果てしなき渇き (宝島社文庫)

果てしなき渇き (宝島社文庫)