隣之怪 木守り

作者:木原浩勝メディアファクトリー
新耳袋」のもう1人のコンビの作品。「なまなりさん」と異なり、こちらはかつての「新耳袋」の赴きが残っている。
24編の怪談が収録されているが、「新耳袋」よりは因果関係が明らかになった話が多い。
新耳袋」のほとんどの話が2,3ページで終わっていたが、こちらは少し長めの話が多い。
因果関係が明らかになるので、普通なら怖さが増すのだが、意外に恐ろしい話は少なかった。
元々「新耳袋」も淡々とした怪談が多く、感情に訴える怖さより、底知れない不気味な恐ろしい話が多かった。
本作は怖がらせようと力の入った平凡な怪談が多い中で、「記憶」と「遺書」と「発狂する家」は出来が良い。
特に腕だけを残して消えた友人の話を語る大学生の「記憶」は、聞いたことのないタイプで、非常に面白かった。
でも2作を比べると、「なまなりさん」の方に軍配があがるかな。

隣之怪 木守り (幽BOOKS)

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