日本一不幸な男

作者:新堂冬樹中央公論新社
出版社に勤める三沢は、婚約者と待ち合わせの場所に急いでいる途中、何者かに拉致される。
拉致した3人組は、婚約者を誘拐し、言うことを聞かなければ殺害するという。
まず、最初の要求はホームレスを一発のパンチでノックダウンすること。
三沢は気が弱く、喧嘩もしたことがなく、唯一の取り柄は逃げ足が速いことだけだった。
次は、チラシ配りのヤンキーを殴り、チラシを奪うこと。
要求はエスカレートし、凶悪なチーマーの前歯を叩き折ることを命じられる。
なぜ、このようなことをしなければならないのか?
3人組は関東一のヤクザの娘を殺害するための、予行演習だという。
その後、どこだかわからない部屋に監禁され、同じような境遇の3人と出会う。
三沢は3人と競わされ、さらに過酷なミッションを与えられる。
警備の厳しい量販店から万引きすることや、抗争中のヤクザの組長のカツラをむしりとること。
で、仕上げは洗脳され、殺人機械となった三沢はターゲットに向かう。
新堂冬樹が書いたギャグ小説だが、それほど面白いとは思わなかった。
無理してギャグなんて書かなくても、今までの暗黒小説には十分笑いの要素が満載だからだ。
お気に入りの作家だから、求めるものは高くなるし、変な恋愛小説は書かないほうが良いと思う。
とはいえ、同じ囚われの男による三沢への罵倒は笑えるし、不幸のジェットコースターはこの作家の真骨頂だ。

日本一不運な男

日本一不運な男