七面坂心中

作者:水沫流人|メディアファクトリー
第1回『幽』怪談文学賞長編部門優秀賞受賞作。
風俗店のチラシ配りのアルバイトをしている済(わたる)が体験する幻想的な物語。
マンションでチラシを投函していた済は、住民に囲まれ、ほうほうの体で逃げ出す。
谷中の墓地で和服姿の女性に出会い、幽霊と見間違うところから不思議な世界が展開する。
同じ風俗店で働くカッちゃんと同棲をはじめるが、谷中の体験が忘れられない済。
近くの居酒屋で出会った「覗き」を生業とする千さんから、技を伝授される。
目まぐるしく舞台が変わるが、表現力はしっかりしているので、わからなくなることはない。
劇団に入っているカッちゃんの窮地を、済が覗きで幻視するシーンがクライマックス。
ただ、面白いとは正直思わなかった。これのどこが怪談なのだろう?
次作は余程のことが無い限り読まないだろうな。

七面坂心中 (幽BOOKS)

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