ビッグブラザーを撃て!

作者:笹本稜平|光文社文庫
中堅ソフトウェア会社に勤める悠太は、友人のハッカーの滝本から相談を受ける。
事務所に訪れた悠太の目前で、滝本は変死を遂げる。死の直前にMOディスクを託して。
警察の取調べから解放され、MOの内容を調べると、暗号ソフトのプログラミングが書かれていた。
その後、滝本から遺言メールが届く。中には暗号ソフトの解読キーが添付されていた。
そのプログラムは恐ろしく堅牢なもので、スーパーコンピュータを駆使しても解読に50年以上かかるものだった。
ビッグブラザーという秘密組織の陰謀を打ち砕いて欲しい」とメッセージが残されていた。
会社をクビになった悠太は、滝本の遺志をついで、ソフトの商用化のため、会社を興す。
直後から、不審な連中が家族の周りにうろつき、妨害をはじめる。
ビッグブラザーはネットワークを乗っ取り、監視社会を作り、世界帝国を打ち立てようとしていた。
そのため、悠太が作ろうとしている暗号ソフトは邪魔になるものだった。
何度も脅迫され、騙されるが、悠太はソフトを完成させる。
誰が敵で協力者なのかわからないスリリングな展開と、実在の組織を登場させるリアルさ。
また、「1人で巨大組織(自然)に立ち向かう」という主人公の姿勢は作者の作品に共通している。
笹本稜平としてデビューする前の作品なので、今まで読んだ作品に比べると少し落ちるが、それでも面白かった。
古典的な暗号解読術を紹介しているのも興味深かった。

ビッグブラザーを撃て! (光文社文庫)

ビッグブラザーを撃て! (光文社文庫)