ALWAYS 三丁目の夕日

作者:山本甲士|小学館文庫
西岸良平のマンガをベースにした小説だが、内容はオリジナル。
舞台は昭和33年の東京。即席ラーメンが発売され、力道山が茶の間で人気だった。
東京タワーの建築が進んでいたが、庶民の生活は慎ましいものだった。
エアコンなんて無いし、家電製品もほとんど所有せず、マイカーなんてほとんどの人がもっていなかった。
ただ、今ほどあくせく働くことはなく、家族団らんの時間は毎日のようにあり、近所の人は皆知り合いだった。
そんな時代を背景にした12編のホッとする話が1月から12月というタイトルで収録されている。
宇宙人が襲来すると嘘を言った息子を叱ろうとする話、売れない作家がデビュー作の舞台となった宿を訪ねる話。
夢の中ではヒーローの気弱な小学生の話、未亡人が末っ子を悩んだ末に養子に出す話。
プレス工場で働く記憶喪失の男のもとに美貌の女性が近づいてくる話。
名前がそっくりで誕生日もまったく同じの男女が偶然出会う話。
最後の話だけは現代が舞台で、40年前に喧嘩別れした大学生がラーメンを食べる話。
登場人物たちのその後が語られ、すっきりした。ノスタルジックで、面白かった。

三丁目の夕日 (小学館文庫)

三丁目の夕日 (小学館文庫)