家日和

作者：奥田英朗｜集英社
日常の変化に遭遇した夫や妻達を描いた家庭小説の連作集。
ネットオークションにはまる妻を描いた「サニーデイ」
会社が倒産し、妻が働きに出て、主夫となった男の「ここが青山」
妻が出て行ったマンションを、自分の趣味のインテリアで埋め尽くす「家においでよ」
欲求不満の妻が性的な夢を見る「グレープフルーツ・モンスター」
突然カーテン屋をはじめると宣言した夫に、やきもきするイラストレーターの妻の「夫とカーテン」
小説家として成功した途端、妻はセレブと付き合い始める「妻と玄米ご飯」
家庭内のトラブルをコミカルに描いていて、テンポもいい。
「グレープフルーツ・モンスター」以外は面白かった。
特にロハスをバカにした「妻と玄米ご飯」はこの作家のスタンスをあらわしていると思う。
ただ、初期の「最悪」と「邪魔」の巻き込まれ型のストーリーが薄れてきているような気がする。
自分は「サウスバウンド」が最高傑作だと思うが、この2作も気に入っている。
ユーモア小説も悪くないのだが、そろそろサスペンスにも期待したい。

家日和