相剋の森

作者:熊谷達也集英社文庫
仙台でタウン誌の編集長をつとめる美佐子は、失恋とともに東京に戻ってきた。
フリーとなった美佐子は野生のクマを獲物とするマタギの取材を始めた。
きっかけはカメラマン吉本の「山は半分殺してちょうどいい」という一言だった。
はじめはマタギを嫌悪し、保護組織の活動を支持していた美佐子だが、徐々に考え方が変わっていく。
一方、取材対象となったマタギの滝沢は、妻子に逃げられ、山に生きることに疑問を持っていた。
自信満々のルポを仕上げた美佐子だったが、団体の圧力で記事がボツになってしまう。
落ち込んで荒れた美佐子だが、吉本や滝沢に励まされ、新たな掲載先を探し出す。
主題は美佐子の成長ストーリーとなるのだろうが、少し退屈な気がした。
たぶん、これを最初に読んでいたら、熊谷達也の他の小説は読まなかっただろう。
「森」シリーズの1作目で、傑作の「邂逅の森」への伏線が引かれているが。

相剋の森 (集英社文庫)

相剋の森 (集英社文庫)