秀頼、西へ

作者:岡田秀文|光文社文庫
大阪夏の陣で、落城寸前の大阪城から豊臣秀頼を救出しようとする歴史小説
真田幸村は、息子の大介に「落城の際には、秀頼を連れて、薩摩に向かえ」と言い残す。
一方、徳川家康大阪城に間者を忍び込ませ、秀頼に近づく。
家康の狙いは、秀頼を薩摩の島津家に匿わせ、それを口実に島津家を潰そうというものだった。
大阪城は落ち、大介は秀頼とその家来達と西へ向かう。その中には家康の間者も含まれていた。
一行は様々な敵から襲撃を受け、苦難の末、堺を出航するが、嵐に巻き込まれてしまう。
上陸した淡路島で、大介は家康の真意を知り、秀頼を薩摩に向かわせないよう策を講じる。
一見主人公に見える真田大介は狂言回しに過ぎず、徳川・島津の間者が本当の主人公である。
そのことに終盤まで気づかないし、悪役のイメージが強かった大野治長を忠臣として描いている。
秀頼の成長も面白く、終末の活躍は主人公ではないかと思えるほどだった。
でも、この題材を扱うと、どうしても陳腐な歴史IF小説になってしまうから残念だ。
それでもそこそこ面白かったけど。

秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)

秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)