メビウス・レター

作者:北森鴻講談社文庫
山梨県で起きた大地震で、倒壊した高速道路の橋脚から白骨遺体が見つかるところから話は始まる。
一方、幻想作家の阿坂龍一郎は、過去の事件を告発する手紙を送りつけられ、怯えていた。
その内容は、男子高校生が焼身自殺を遂げたことに対して、疑問をもつ同級生の独白だった。
何故、阿坂が怯えるのか謎のまま、話は進む。同じ時期に、阿坂は主婦のストーカーに付きまとわれる。
このストーカーを徹底的に不快な人物として、上手く描写していたと思う。
過去から送られてくる手紙は、容疑者一人一人を調査する内容に変わっていく。
そんな中、阿坂の担当編集者が、何者かに殺害され、警察の追及を受けるようになる。
過去、現在と交互に進む内容に、阿坂の怯えの正体が見えそうでなかなか見えてこない。
主婦のストーカーも何者かに殺害され、阿坂はさらに追い詰められた気分になる。
謎は最後までわからず、結末で明かされる真実にはかなり驚かされる。タイトルにも納得。
ただ、読んでいる間は非常に面白かったが、読み終わると「ふーん」という印象。
ミステリーとして悪くないのだが、謎をちりばめすぎたのかな?

メビウス・レター (講談社文庫)

メビウス・レター (講談社文庫)