太平記鬼伝 児島高徳

作者:火坂雅志小学館文庫
太平記の中ではマイナーな人物の児島高徳を主人公にした歴史小説
足利尊氏楠木正成新田義貞ではなく、何故この人物を取り上げたのかに興味があった。
太平記では後醍醐天皇隠岐から逃すところくらいしか活躍シーンがなかったからだ。
この小説では児島高徳は山伏武将として縦横無人に活躍する。
足利尊氏の家から謀反を示す文書を盗み出し、全国の山伏を集め、北朝に対抗する。
水軍を率い、四国を制圧しようとし、九州に上陸し、大宰府を占領しようとする。
だが、常に少数の兵力しか持たなかった高徳の目論見は上手くいかない。
圧巻は10人で足利尊氏の寝所を襲うところだが、ここをもう少し上手く書けていればと思う。
でも、戦乱の日本を全国各地に50年近く飛び回ったマイナーな武将を取り上げたのは良い。
ただ、私利私欲を排除する児島高徳の姿勢はイマイチ伝わってこないのが残念。
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