人のセックスを笑うな

作者:山崎ナオコーラ河出文庫
美術系の専門学校に通う19歳の少年が、20歳年上の講師と恋に落ちる話。
話は別れた後の回想で綴られる。そんなに綺麗でもない女性になぜ、惹かれたのか?
やる気も無く、コミュニケーション下手で、自分中心の会話だけど、離れられない。
淡々と穏やかに続く関係の中にも、別れの気配は忍び寄ってくる。
一途な恋とは思いたくない少年の苦悩が、照れ隠しの中にうかがえる。
ふとした情景の描写など、文章のセンスはいい。だから直木賞候補作になったのだろう。
表題作以外に「虫歯と優しさ」という短編も収められている。
こちらは女装趣味の男が、別れた彼氏のことを、歯医者の治療中に考える話。
雰囲気は悪くないのだが、ホモはギャグとしてしか、捉えられない。
150ページ程度の本なので、1時間ほどで読めた。
それなりに面白かったが、3日後に忘れているようなサラリとした小説。

人のセックスを笑うな (河出文庫)

人のセックスを笑うな (河出文庫)