荒南風

作者:阿井渉介講談社
ヤクザの事務所に元漁師の彦地が訪れる。砂子という男を捜しているらしい。
彦地の人間性に惹かれた組長の山根は、自分の息子の家庭教師を依頼する。
中学生の息子の直樹は反発しながらも、次第に心を開くようになる。
彦地は拳銃の密輸で服役していたが、その拳銃で強盗殺人が起きたことに心を痛めていた。
やがて、組の中に拳銃を悪用した者がいることを突き止めた彦地は、直樹を誘拐する。
直樹を車に乗せ、西へと向かう彦地。海沿いの町を選び、滞在する二人。
彦地は直樹に魚をとり、調理する方法を教える。元漁師の作る料理はどれも美味そうだった。
拳銃を排除しようとする彦地に賛同した直樹は、組に戻り、狂言誘拐を実行する。
だが、敵対する組に逆に誘拐されてしまう。彦地は単身、敵地に乗り込む。
元漁師が主人公という、一風変わったハードボイルドだが、ストーリーは平凡。
それでも、元漁師の作る料理が魅力的で、そこは面白いと思った。

荒南風 (講談社文庫)

荒南風 (講談社文庫)