馬券偽造師

作者:中山兼治|幻冬舎アウトロー文庫
今から30年ほど前に、偽造馬券で10億円を稼いだ男のノンフィクション。
腕の良い印刷工の作者は、浅草で競馬の魅力に取り付かれ、馬券を偽造するようになる。
当時の馬券の換金は手渡しで、窓口の人をごまかせば、金を手にできた。
だが、馬券を偽造するのは簡単ではない。様々な道具を使い、外れ馬券を当たり馬券に修正する。
毎日14時間、馬券を偽造する姿に、作者の執念が伝わってくる。
一ミリ四方のスペースの中に、数十本の線を引くスキルには驚かされる。
また、偽造馬券を換金するために、函館や福島まで出張する計画性の高さ。
最後は逮捕されて、刑務所での生活も描かれる。
ここで書かれている方法は、当然今は使えない。
でも、偏執狂みたいに、一つのことに没頭すれば、道は開ける。
その姿勢は犯罪者からも見習うことができる。軽く読めた。

馬券偽造師 (幻冬舎アウトロー文庫)

馬券偽造師 (幻冬舎アウトロー文庫)