水銀虫

作者:朱川湊人集英社
直木賞作家のホラー短編集。安定感があり、ハズレがない。
妻を殺害した翌日に、街娼のような女性に付き纏われる「枯葉の日」
仲むつまじい若夫婦のアパートに遊びに行くようになった少年が、恐ろしいものを目撃する「しぐれの日」
姉の自殺と共に家族に取り入ってくる同級生のおぞましさを描いた「はだれの日」
交通事故で孫をなくした友人の家を訪れ、不快な食事を振舞われる「虎落の日」
イジメをした挙句、廃人になった同級生が、クリスマスの度に姿を見せる「薄氷の日」
山の祠で出会った妖怪を殺してしまう小学生を描いた「微熱の日」
精神病を患った妻の看護に疲れた男が、図書館で黒衣の男に出会う「病猫の日
いずれも面白いが、今までの作品に比べると少し、幻想的な雰囲気が薄いように思えた。
その分、ストレートに人の弱さと、ハメを外した悪意の結果が十分に伝わってくる。

水銀虫

水銀虫