I天唄歌い

作者:坂東真砂子朝日新聞社
江戸時代初期、薩摩藩で通訳を務める亥次郎は、琉球に向かう途中、船が難破する。
漂着した島は、言葉は通じず、予言者の女性が支配する南の孤島だった。
この島では、余所から流れ着いた人を犬扱いして、残飯を与えるのが慣例だった。
亥次郎の上司は屈辱に耐え切れず、切腹してしまう。
島には結婚の習慣もなく、亥次郎たちのような余所者とも、平気で交わり、
食べ物や生活の心配もなく、亥次郎は犬の生活に慣れていった。
一方で同じ境遇の僧侶や商人、漁師、強盗、琉球人、中国人、南蛮人と交流を深める。
このままこの島で生きていこうと考えていたが、かつての同僚が軍勢を連れて島に上陸する。
戦を経験したことのない島の住民を亥次郎は守ろうとするが、殺戮が始まる。
最後に亥次郎が採った策は意外で、面白かった。
永遠、楽園、無情、想いが届かないことの悲しさを淡々と描いている。

天唄歌い

天唄歌い