川の名前

作者:川端裕人|ハヤカワ文庫
小学5年生の菊野脩は、カメラマンの父親と一緒に、世界各地を旅していた。
そのため転校は多く、夏休みを日本で過ごしたことはなかった。
だが、この夏休みは日本に残り、友だちのでぶ丸と河童と自由研究をすることにした。
脩・デブ丸・河童はそれぞれ悩みを抱えており、クラスでは浮いた存在だった。
そんななか、近くの川で、偶然野生のペンギンを発見し、3人は夢中で観察を始めた。
ペンギンは立入り禁止区域でひっそりと、親子4頭で生活していた。
だが、父親ペンギンが餌を採りに行っているところを、住民に発見され、大騒ぎになる。
都内の川にペンギンがいるということで、マスコミが押し寄せ、報道は加熱する。
さながら、アザラシのタマちゃんのようだ。
脩のライバルの手嶋も仲間に加わり、ペンギン達を守ろうとする。
立入り禁止区域まで入ってきたマスコミから、台風の川をカヌーで逃れるシーン。
子供が無茶な冒険して、成長する話は無条件で面白いが、今の自分を省みると切なくなる。
永遠のように思えた夏も、今ではあっという間に終わるし。

川の名前 (ハヤカワ文庫JA)

川の名前 (ハヤカワ文庫JA)