ニッポン「不思議島」異聞

別冊宝島
日本は島国で、7千近い島がある。そのうち人が住んでいるのは数百。
この本は「本当に日本なのか?」というくらいの孤島を取り上げている。
人魚を祭った南の島の神社、生き胆を食べるという習慣のある島。
毒蛇や猛毒の貝、人を襲う魚。およそ日本らしくない奇妙な祭。
おどろおどろしい面。異様に高い塀に囲まれた家。廃墟となった島。
サイズが変わってから、別冊宝島はつまらなくなったが、これは久々に面白かった。
子供の頃に読んだ「ムー」のオカルトに対する冒険心を思い起こさせる。
奇をてらう記事はなく、淡々と写真が綴られているのもいい。
これらの島のほとんどが、過疎高齢化しており、百年後には無人になっている島もあるだろう。
土地に根ざした信仰はすでにほとんどなくなっていて、あとを継ぐ若者はいない。
地域の装置として機能した神社仏閣の施設も、単なる観光地になってしまっている。
郷愁に溢れ、日本に対して寂しさを覚える本だ。良い。