白髪鬼

作者:岡本綺堂光文社文庫
古典。昔、読んだ「西瓜」が不気味だったのを覚えている。13篇が収録。
新耳袋」のように、採集した話を披露する形をとっている。
明治・大正・昭和初期の、まだ夜に闇が存在していた時代。
情報が伝わるのは遅く、思わぬ人の死が、電報で伝えられる。
何作かは江戸時代の話がミックスしているが、因果関係がわからないところが不気味。
「西瓜」は有名な話で、西瓜が生首になり、また西瓜に変化する。
改めて読むと、読むと少し物足りなさを感じたが、他に面白い作品が多かった。
その中でも面白かったのが表題作の「白髪鬼」だ。
同じ下宿で弁護士を目指す先輩が、試験会場で現れる白髪の女性をめぐる話。
最後の先輩の発言が出色。これが元ネタだったのかと思う怪談が結構ある。
他には、関東大震災を地方で心配する人たちが出会った奇跡の「指輪一つ」と、
雪に埋もれた老婆を巡り、怪異を探る「妖婆」が面白かった。