雨鶏

作者:芦原すなお|ヴィレッジブックス
60年代後半に東京で大学生活を送る、四国出身の青年が主人公の短編集。
大学の独文科に籍は置いているが、学園紛争をいいことに授業には顔を出さない。
親の仕送りを当てにして、バイトにも消極的で、自堕落な生活を送っている。
友人と毎晩酒を飲み、社会に出る猶予期間を少しでも延ばそしたいと思う主人公。
会話の内容は古臭い言葉があるし、話の内容自体はそんなに面白くなかった。
でも、大学時代の過ごし方として、自分とダブっている部分に共感を覚えた。
時間は無限で、そのうちにやればええかという感覚。
何の努力もしていないのに、いずれ才能が舞い降りてくるという錯覚。
サボリや手抜きは覚えて、世慣れてきても、あのころの開放感戻るのはムリだ。
で、新入社員の研修は手厳しくやることに決めた。恨むのなら、この作家を恨め。