黒い太陽

作者:新堂冬樹祥伝社
キャバクラを舞台に、のし上がっていこうという男を描いた暗黒小説。
父親の入院費用を稼ぐために、池袋のキャバクラに勤めている立花が主人公。
表面上は客に媚を売り、陰でバカにする夜の住人を、立花は嫌悪していた。
勤めている店のナンバーワンキャストの千鶴を見ていることが彼の救いだった。
だが、社長の藤堂に目をつけられたときから、立花の運命は変わり始める。
予想もしない抜擢に、同僚から嫌がらせを受けるようになる。
夜の仕事に嫌悪を感じながらも、次第にどっぷりとはまり、藤堂の下を飛び出す。
独立した立花は、自分の店を渋谷に構えるが、藤堂の刺客が近くに店を出す。
キャストの引き抜きあいという、泥仕合を繰り返すところは、面白い。
自分を裏切らないだろうという女性に、いとも簡単に窮地に陥る立花。
作者にとっては久々の暗黒小説で、展開は飽きさせず、面白かった。
少し物足りないのは、破滅する人物が出てこないところかな。
いかれた人間も出てこない。でも、続編が出そうな終わり方が気になる。

黒い太陽

黒い太陽