作者:荻原浩新潮文庫
香水の販促のため、広告代理店の西崎はコンサルティング会社に協力を求めた。
そこの女性社長が、渋谷の女子高生をモニターに集め、サンプルとある噂を流す。
「ニューヨークではレインマンが女性の足首を切る事件があるけど、この香水をつけていれば、大丈夫。」
渋谷から放射状にこの噂は広まっていく。ただし、知っているのは若者だけ。
香水がヒットし始めたころ、足首のない女子高生の死体が連続で発見された。
都市伝説が現実の事件となった。
目黒署の小暮は、本庁の女性警部補の名島とコンビを組んで調査を始める。
小暮は妻を交通事故で亡くし、名島は夫を過労死で亡くしていた。
お互いの似た境遇に、最初はギクシャクしていたが段々と親密になっていく。
コンビで様々な人に聞き込みをし、推理をするが、捜査本部は間違った方向に進む。
小暮の独断の捜査に上層部はコンビ解消を通告する。
リミットまで数日。犯人は捕まるのか?
この人はユーモア小説のイメージが強かったが、意外にもサスペンスも面白い。
人物描写の上手さ、ユーモアのある文体、飽きさせないストーリー。
今のところ、この作家にハズレはなく、これも面白かった。
オビにある「ラスト一行に瞠目」とあるが、自分はこれは余計だったと思う。

噂 (新潮文庫)

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