1303号室

作者:大石圭河出書房新社
湘南の海が見渡せるその部屋に入居する女性は、何故か飛び降り自殺する。
その部屋には誰かがいる。妹が自殺した翌日に部屋を訪れた姉は感じる。
妹の恋人が友人に調査を依頼すると、その部屋ではすでに6人の自殺者がいた。
怨念の元になる孤独な女性の描写は上手く、江戸川乱歩の「虫」を彷彿させる。
ただ、ホラー小説だから仕方がないとしても、解決のない結末はすっきりしない。
不気味さはあるが、同じような表現が何度も出てくるのも少し稚拙な感じだ。
日本のホラーでは「リング」と「黒い家」を越えるものはまだ出てこない。
この作者には期待しているのだが。

1303号室

1303号室