花まんま

作者:朱川湊人文芸春秋社
30年ほど昔の大阪の路地裏を舞台にした不思議な話の短編集。
全6話とも子供が主人公だが、ノスタルジックな雰囲気に満ちていて良かった。
朝鮮人の子供が病気で死んだ後に、長屋でおきた怪異を描いた「トカビの夜」
くらげのような生物を手に入れた少女が性に目覚める「妖精生物」
遊び人のおっちゃんが死んだ葬式の日のハプニングをつづる「摩訶不思議」
幼い妹が突然誰かの生まれ変わりだと言い出す「花まんま」
人を死に追いやる呪文を操る狛犬のような老婆「送りん婆」
出自のことでイジメを受けた少年が墓地で出会う女性に惹かれる「凍蝶」
昼間から酒を飲み、どうしようもない大人たちの中で育つ子供たち。
作品の舞台は天満や新世界、西成と自分にも思い出のある土地だ。
大人向けの童話集という趣きで、とても面白かった。

花まんま

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