半島を出よ(上・下)
作者:村上龍|幻冬舎
上巻430ページ、下巻493ページの大作。長すぎる気はしたが、面白かった。
景気が悪化し、国際社会からも見放された2011年の日本。
福岡に北朝鮮の特殊部隊が潜入し、福岡ドームを占拠。
その直後500人の兵士が飛行機で到着し、福岡を制圧。
日本政府はどう対処していいかわからず、とりあえず九州を封鎖。
「高麗遠征軍」と名乗る反乱軍は市民に対して弾圧を開始。
非合法な商売で利益を得た人を捕まえ、拷問にかけ、財産を没収。
日本政府から見放されたと感じた福岡市民の一部は、反乱軍に同調する。
そんななか、イシハラグループという少年犯罪者の集団が反抗を始める。
反乱軍の司令部のホテルでの戦闘シーンを描く「美しい時間」の章はよかった。
兵士が近づいてくる恐怖に耐え切れず、皆の前で本音をぶちまけるシーン。
「美しい時間は短いに決まっているじゃないか」と一人とどまるシーン。
共感はしなかったけど、孤独で個性的な少年猟奇犯罪者たち。
エピローグで爪に刻まれた名前は映画のエンドロールのように思えた。
- 作者: 村上龍
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