柔らかな頬
作者:桐野夏生|文春文庫
夫の友人と北海道の別荘で不倫をしていると、娘が行方不明になり、
その行方を捜す女性が主人公。その後、末期がんの元刑事が、
捜査の協力に乗り出す。命が尽きるまでに解決はできるのか?
がんに侵された内海の描写がよかった。
「病いが人間に孤独を強いるのは、肉体の痛みや苦しみを誰とも共有できないからだ。」
彼はヒーローではなく、病状の進行とともに意識の混濁の様子も書かれている。
バスに住み着いた宣教師もいい味を出していた。
主人公のカスミには共感できない部分が多かったが、強いバイタリティを感じた。
カスミが新しい生き方を探そうとするところで終われば良かったのに、
最後の章は不要だったな。謎解きが中途半端になった。直木賞作品。
- 作者: 桐野夏生
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