横浜をつくった男

作者:高木彬光光文社文庫
文庫本裏書
幕末から明治を生き、横浜の地に名を残し、易姓と呼ばれるまでになった男、高島嘉右衛門
江戸の商人であった彼は、商売の手違いから投獄され、牢内で「易経」とめぐりあう。
上下二巻を暗誦するほど熟読し、彼は天来の易占の才能を開花させる。
後に自由の身となった嘉右衛門は、横浜に新天地を開拓し、更に伊藤博文の相談役として、その類稀なる能力を発揮する。


高島易断の開祖を描いた歴史小説
江戸時代の商人としての活躍を、親の代から丁寧に記述している。
鍋島家と南部家と取引があり、南部藩の危機を救うシーンは面白かった。
また、材木を買い占めて、直後に地震が発生し、大儲けするところもいい。
その後、為替の詐欺で投獄され、辛酸をなめる。ここで、占いの研究をする。
実業家として、横浜を開発していく話もあるが、占いに頼ると胡散臭くなる。
高木彬光は過去のミステリ作家だが、デビュー前に占い師に相談したエピソードがある。
占いに造形が深く、作者あとがきで、高島嘉右衛門の見立てを解説するが面白くなかった。


「横浜」をつくった男―易聖・高島嘉右衛門の生涯 (光文社文庫)

「横浜」をつくった男―易聖・高島嘉右衛門の生涯 (光文社文庫)