カンタ

作者:石田衣良|文春文庫
東京の下町の団地で出会った二人の子供たち。
カンタは発達障害で、身体の弱い母親と二人で暮らしていた。
耀司はホステスの母と二人暮らしだったが、母の稼ぎもあり、成績もよかった。
優等生の耀司とカンタは最初から惹かれるものがあり、親友となる。
耀司は学校でカンタをイジメから守るが、カンタの母親が病死する。
カンタは耀司の家に引き取られるが、高校受験で二人は引き離されてしまう。
耀司は進学校へ、カンタはフリーターになる。
耀司が大学生になり、携帯のゲームで起業すると決め、カンタも協力する。
時代の流れに乗り、二人の会社は成長を遂げ、青山の一等地に会社を構えるまで成長する。
だが、老舗のゲーム会社をM&Aすることで、二人の会社は大きな危機を迎える。


低所得で働く若者たちの反逆のドラマだが、ほろ苦い内容だ。
カンタが沖縄に逃げたのは、まるでライブドアの副会長の自殺を彷彿させ、暗い気分になる。
年功序列、不景気、高齢化社会のしわ寄せは若者にのしかかっている。
面白い作品だが、ちょっと国の未来の暗さも感じた。


カンタ (文春文庫)

カンタ (文春文庫)