翔る合戦屋

作者：北沢秋｜双葉文庫
「哄う合戦屋」「奔る合戦屋」に続く3作目で完結作。

武田信玄と対決する信濃衆は守護の小笠原長時を大将にして、対峙する。
だが、信玄の調略により、内部を崩され、あっけなく敗れ去る。
主人公の石堂一徹は、主君の遠藤吉弘を逃し、自身も信濃を去ろうと考えていた。
だが、遠藤吉弘の娘の若菜の想いを受け、再び遠藤家を建て直し、武田に対抗することになった。
一徹は短期間で、中信濃を混乱させ、信玄の協力者を滅ぼし、領土を広げていく。
また見限った北信濃の村上義清に協力を求め、信玄を駆逐する策を立て、決戦に挑む。

一徹の合戦屋としての能力がフルに発揮する痛快な展開で、最終作にふさわしい。
弱小勢力の末路にありがちな、滅びの美学に進まなかった結末も悪くない。
続編があるのかもしれないが、個人的にはべたな悲劇でもよかったのではと思った。

翔る合戦屋 (双葉文庫)