灰色の犬

作者:福澤徹三|光文社
県警本部捜査4課のエースだった片桐誠一は、情報漏えいの疑いで左遷される。
10年後、誠一は県警本部から流出した捜査員名簿を入手する。
この出所を明らかにすれば、過去の濡れ衣を晴らせると、一人で調査に乗り出す。
だが、他部署の応援で拳銃のやらせ摘発を頼まれ、過去につながりのあった暴力団幹部に協力を求める。
その暴力団幹部の刀根は、シノギがうまくいかず、後輩に地位を脅かされていた。
一方、誠一の息子の遼平は、公立大学を出て就職したものの、すぐに退職し、プー太郎状態。
バイトで食いつないでいたが、パチンコで借金を重ね、090金融に手を出してしまう。
誠一と刀根は最初のやらせでは成果をあげたが、更なる要求に苦慮する。
遼平は借金返済のために090金融の手先になり、不安に怯える日々を送る。
やがて、誠一も刀根も組織に嵌められ、絶体絶命の危機に陥る。


組織の上部にいる者が下の者を犠牲に強いる理不尽な展開でスリル満点。
だから後半の3人の反撃は痛快。
過激な暴力の描写を得意にしている作者だが、この作品は少し控えめだ。
刺激は少し足らないけど、十分面白い作品だった。


灰色の犬

灰色の犬