凍花

作者:斉木香津|双葉文庫
三姉妹の長女の百合が、次女の梨花をアイロンで殴り殺した。
百合はデザイナーで自分の地位を固めつつあった。
梨花は誰からも好かれる性格で、宝石店で働いていた。
三女の柚香は大学生で、二人の姉を自慢していたので、ショックは大きかった。
百合は逮捕されたが、動機は話さず、黙秘したまま。
柚香はひょんなことから、百合の日記を入手する。
百合は幼い頃に分かれた友人と交換日記を続けていた。
だが、その友人との交流はなく、百合の二重人格が疑われる。
さらに、日記を読み進めると、百合は梨花のことを「ゲロンパ」、
柚香のことを「チャバネ」と記していた。
百合が二人の妹を心底嫌っていることにショックを受ける柚香。
日記を読むのを止めてしまったが、関係者には聞き取りしてと、日記を渡していた。
日記を読んだ関係者は、柚香に全部読むようにアドバイスを与える。


百合に対しては徹底的に第三者の視点から描かれる。
学生時代から嫌われ者だったという証言。
百合の日記には、妹二人に対する罵詈雑言で埋め尽くされていた。
柚香が姉に対して憎悪を募らせるのも分かる。
だが、周りの人たちの助言で後半に移り、百合の人物造形がガラッと変わるのは鮮やかだった。


凍花 (双葉文庫)

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