凍原

作者:桜木紫乃小学館文庫
釧路の警察に勤務する刑事の松崎比呂。
彼女が、中学生のころ、弟は自宅近くの湿原で、行方不明になった。
湿原の沼のようなところで、沈んだと思われ、遺体は発見されなかった。
それから17年後、弟が行方不明となった湿原で絞殺死体が発見される。
被害者は車のブローカーで、青い目を隠すためのコンタクトレンズを入れていた。
被害者の足跡を追うと、太平洋戦争末期の樺太からの引揚者の影が浮かぶ。


終戦後の樺太の混乱が描かれ、独力で生きていく女性が並行して描かれる。
札幌の復興や、室蘭や釧路の一時的な好景気をしたたかに生きていく女性。


比呂の相棒が、弟の捜査を担当した老刑事で、弟の失踪事件も結末で明らかになる。
面白い作品だったが、ちょっと登場人物同士のリンクが無理があるように思えた。