共震

作者:相場英雄|小学館
震災から2年が経った仙台で、復興支援に携わる県職員が殺害される。
彼は、東北広域に足を延ばしており、被災者の信頼も厚かった。
被害者と親交のあった新聞記者の宮沢は、警察の取材に臨む。
震災前から因縁のあるキャリア官僚の田名部が捜査のTOPに座る。
宮沢は、過去に田名部に貸しがあり、捜査の内情を取材し、独自に事件の真相に迫る。


震災後のNPOの不正を暴く内容だが、トリックの解明もある。
内容は面白いが、東北を舞台にした作品を多く描いてきた作者は、震災後の被災地を描きたかったのだろう。
作中で宮沢が、震災2週間後の被災地を取材するシーンが描かれる。
想像を絶する被害と悲惨さ、これこそが作者の伝えたかったことだと思う。
生々しい被災地の描写は衝撃的で、それを緩和させるためにミステリにしたのかな。
トリックも動機もイマイチなミステリだが、印象深い作品。

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